この道を行けばどうなるものか

上記の通りあまり書く気になれなかったんですが、丸一日ほどネットができなかったうちに話は進んでいた模様なので。

■ ジーコ監督、自説を主張 代表への功労者招集で(スポナビ)
サッカー日本代表のジーコ監督は22日、消化試合となるワールドカップ(W杯)アジア1次予選最終戦(11月17日・埼玉)に、元代表の功労者を招集したいとの意向が波紋を広げていることに対し「チーム力は落ちない。勝ちにいく」と、あらためて自説を主張した。休暇中のブラジルのリオデジャネイロ共同通信の電話取材に答えた。
 同監督は、日本のアジア最終予選進出が決定したため、シンガポールとの最終戦は勝利を絶対視しない「フェスタ(お祭り)だ」と指摘。ベテラン招集を「日本サッカーの歴史に貢献してくれたことに感謝するため」と述べ、不謹慎な動機ではなく真剣に考えた末の方針であると強調した。
 招集候補には三浦知(神戸)中山(磐田)秋田(名古屋)沢登(清水)小村(広島)を挙げた。「Jリーグで欠かさず彼ら(ベテラン勢)を見ている。負傷さえなければ調子はいい。信頼している」と話した。若手選手らを起用すべきとの声には「失礼な言い方だが(格下の)シンガポールではテストの機会にならない」と反論した。また故障からの回復が注目される中田英フィオレンティナ)については、本人が希望するなら招集もあり得るという。
 同監督は31日にリオデジャネイロを離れる予定で、日本に戻った後に最終決定するとした。

誤解を生まないため、全文記載しました。
感想としては「あ〜ぁ」といった感じです。
ポルトガル語で「Festa」と言ったのでしょうが、日本じゃそれを「お祭り」と訳すんですよ、コインブラさん。
10年近く日本に住みながら日本語を相変わらず話さない(覚えない)ことの弊害がこんな形で出ましたね。
ちょっと頭にキてますが、発言など順を追っていきましょう。

  • 「チーム力は落ちない。勝ちにいく」

言わずもがな、落ちます。素人でも分かります。本来、代表チームはコンディションが良く、クラブで成果を残している選手が呼ばれるの“はず”であるのは言うまでもありません。それで勝ちに行くといわれてもね。

  • 「フェスタ(お祭り)だ」

まあ、言語によるニュアンスだと思いますが、その言葉は聞きたくなかったです。その言葉の本意は、残念ながら今の日本人には理解できません。

  • 「日本サッカーの歴史に貢献してくれたことに感謝するため」

確かに監督は選手選考の全権を握ってはいます(みんながみんなとは言いませんが)。しかし、それはクラブであれば、オーナーを始めとしたフロント陣、代表であれば協会といろいろ(あえて言いません)と契約関係、そしてそれぞれのチームのファンに対して『責任』を負っているといえます。
その『責任』を放棄して、呼びたい選手を呼ぶと『自由』を主張するのはとんだお門違いです。これでは思春期の中高生じゃないですか。*1

  • 「Jリーグで欠かさず彼ら(ベテラン勢)を見ている。負傷さえなければ調子はいい。信頼している」

どのスポーツでもベテラン勢が一番苦労するのは「コンディション維持」だといいます。技術や経験なら若手と大差はなくても、加齢に伴い、それが常に100%(近く)発揮できなくなるのが、人間の肉体というものです。
今年九月に全国放送された「まだまだです!密着!中山雅史36歳」で、中山隊長が「疲れが抜けない」「若い奴らはないのかな」と呟く姿が記憶に新しいですが、その言葉にすべて集約されていると思います。
あと「負傷していなければ、調子はいい」ですって?「信頼している」?
そんなことは若手もベテランも同じ。信頼していようがいまいと、調子が落ちるときはは落ちる。仮に、もしその「調子が良い」という言葉が、「パフォーマンスが優れている」という意味だったら、彼らは既に何度も代表チームに召集されているはずですよね。
残念ながら言うに事欠いているだけのこじつけで、説得力はありません。

  • 「失礼な言い方だが(格下の)シンガポールではテストの機会にならない」

もう完全に「余所者」の意見ですね。日本とシンガポールとの国際関係なんておかまいなし。
こんな発言を協会は「まあまあ」というのでしょうか?
はっきり言って迷惑です。ジーコがこれ以上勝手な真似を続けるのであれば、サッカーのみならず、他の競技団体や国際活動をしている組織にも波紋が広がることは間違いありません。



ちょっと冷静に考えました。
今の日本とシンガポールの関係って、10年以上前の日本とブラジルよりは近いと思います。方やプロリーグが存在し、WCにも何度も出場している国。もう一方はアマチュアでWC出場はおろか一次予選通過がやっとの国。
何年か前の日本は後者でした。それが約10年という脅威のスピードでアジアトップクラスになり、欧州リーグにも何人も選手を輩出するようになりました。
もし、日本がまだ後者だった時代に対戦相手から「相手にならない」「お祭り試合にしよう」とあからさまな手抜きをしてきたら、日本国民はどう思うでしょう?
その国に侮辱されたと思い、憎悪の感情を持ち強く反発を起こすでしょう。日本でなければ国際紛争の可能性も否定できません。
それと同じことをジーコはやろうと主張しているのです。
相手にならないから、飛車角金銀落ちのチームでお祭りをやろうと言っているのです。
呼ばれる選手に対しても、日本のファンに対しても、相手国シンガポールの選手や協会やファンに対して、大変無礼なことです。
監督がブラジル人であろうが、日本の代表を率いるチームを任せられている以上、“郷に入りては郷に従え”そこは日本の仕来り(礼を重んじる、和を尊ぶなど)を遵守すべきだとはっきり言うべきです。
それでもジーコが主張を曲げない時は雇い主である協会が解任をすればいいんです。
たとえ会長が大きな権力を握っていようが、間違った道へ進むときは、周りの人間がそれを修正させるべきです。



確かに、彼にすべてを求めるのは酷があるとは思います。それは外国人である以上、日本の流儀を100%は理解することはできません。日本人だって難しいんですから。
しかし、では何のために日本人スタッフがいるのか。またなぜ、川淵氏はもっと密にジーコとコミュニケーションを取らなかったのか?
ジーコは川淵氏による独断で決定した監督である。もし川淵氏本人が無理であれば、マネージャーに相応する信頼の置ける人間をつけなかったのか?
スポーツの世界で「たら・れば」は禁句だが、ジーコがこのプランを前々から考えていたことが事前に把握できていれば、彼のできない『日本的根回し』ができたのではないだろうか?もしくは「このプランには無理がある」とストップが入れば、ジーコがこんな風に叩かれることもなかっただろう。
川淵氏とジーコの関係に「コミュニケーション」が取れているとは思えない。
もはやジーコは孤立している1トップ状態である。
この悪い流れを変えるには、新たな選手の投入か、システム変更しかなさそうだ。

*1:一般的なイメージ