手段と目的 ―アジア杯2007 日本-サウジアラビア―

いやー悔しい。すごく悔しい負け方。
勝てなくてもない相手、いや無理か。結局リードできなかったし。
サウジは日本をよく研究してきてたし、試合後に泣いていた選手がいたように、何より必死に勝とうとしてた。
地力に勝るとはこのことか。

◆総評

試合全体で見ると、日本の悪い面ばかりが目立った試合だったと思う。
ピリッとしない立ち上がり、失点されてようやく目が覚める。
前のオーストラリア戦の勢いや集中力はどこへやら。きっと疲労だな。
ゲームの入り方のまずさ、相手主導の試合運び、ゴールへの意識の希薄さ、つまらないパスミスの積み重ね。
そして、そこをしたたかに突いてくるサウジ。
一番大きいなと思ったのは、綺麗なサッカーを志向する日本に対して、強引でも必死にゴールを陥れようとするサウジ。
この差が明暗を分けたんだと思う。
繋ぐの意識が強すぎる故の「パスのためのパス」が繰り返されるのを見ていると、なんとも歯がゆい。
象徴的なのはサイドチェンジ。
今の日本のサイドチェンジは単にスペースにボールを動かすだけで、相手は大して慌てていないことが多い。
それは前段階で相手をひきつけるという作業をしていないから、相手の陣形がほぼ崩れないせいだ。
確かに綺麗に展開できてはいるが、どん引き状態のアジア相手では相手を引き出す「タメ」がなければ、有効なサイドチェンジは無理じゃないか。
それでも無理なら、ゴールに向かうボールをガンガンあげて、相手守備を少しでも引き摺り出すとかした方がよっぽど相手は嫌がると思う。
つまるところ、やっぱり攻めのアイディア不足だと思う。
対してサウジはというと、数的不利でもガンガン突っかけてきて前線へどんどん放り込む。
コースが見えれば迷わずシュート。
コースがなければ、ドリブルでこじ開ける。
局面局面で常にゴールを意識したプレーを続けるサウジ。
守備も若干のもたつく場面はあったけども、日本のパスの供給元で中盤をがっちりマーク。
見事に日本の攻撃を寸断していた。

すごく端的に言えば

日本

  • パスのためのパス
  • パスのためのドリブル
  • シュートのためのシュート

サウジアラビア

  • シュートのためのパス
  • シュートのためのドリブル
  • ゴールのためのシュート

僕の目にはこう映った。

◆監督采配

多くの疑問が残った。
ここまでの4戦、スタメンはほとんどが固定。交代枠もほぼお決まりパターン。
ハノイの気候に慣れたからとはいえ、前の試合で120分戦った選手の疲労は確実に残っている。
実際、キレがない選手も何人か見られた。
選手層が薄いのは百も承知だが、そこまでして固執することはないだろう。
交代枠もそう。
佐藤寿人がまっったく生かせていない。見てて腹が立った。
矢野もターゲットマンなのか、裏を突かせたいのか全く分からない。
両名とも生かされるタイプの選手なのに、周りが生かそうとしていない(できない?)。
カードの切る順番も不可解。
試合が後手後手に回っていたにせよ、そういう場面でこそどんどん先手を打って欲しかった。

最後に

こうやって振り返ると、やはり負けるべくして負けたんだと思う。
こういうタフな環境での試合には、闘莉王や播戸のようなガッツ溢れる選手の重要性を再認識させられた。
あー次は韓国と三位争いだ。奴らは必死でかかってくるぞーー。