mail from So 2008年10月30日

試合が終わったあと、僕を囲む報道陣の表情は、誰もが複雑そうでした。
素直に「おめでとうございます!」と笑顔で言えないその理由は、
よくわかっています。僕が試合に出ていないから。
なんだか不完全燃焼のまま終わってしまったから。
だからこそ、僕のほうが申し訳なく思ってしまいました。
出ていたらなあ、活躍していたらなあ、と。
でも、控えである以上、僕の役目は「その時」に対して備えるだけ。
出番がなければ、また同じことを翌日やるだけです。
心と身体の緊張を最高潮にまで高めては、
それをリリースできる場所はなく、帰宅するという毎日。
そんなシーズンが、プレーオフでも続いてしまいました。

数日前、そんな話をヨメとしていた時のこと。
「昔、マラソンの中継でオートバイの後ろに乗ってね」
「なんで今その話やねん?」
「生放送だし、中継の前後も含めると、何時間もトイレに行けないわけよ」
「うん」
「だから、大人用のオムツをはいたの。それならトイレに行きたくても迷惑かけないで済むし」
「だから何で今その話やねん?」
「オムツがあったから、トイレのことを心配しなくて済んだってこと。実際にお世話にはならなかったけど、不安なく仕事ができて嬉しかった」
「そやろうけど・・・」
「ベンチもそうじゃない?最終的に使う、使わないは別として、そこにベンチの選手がいるから、監督は思い切りできる」
「俺は大人用のオムツかい!?」
「え、ダメ?心配を取り除いてくれる、心強いバックアップ。すごいよ〜」

奇しくもチャーリー(監督)が、優勝のあとこう言ったそうです。
「ソウの出番は少なかった。しかし彼が最後にいてくれる、
ということが、私にとってはどれだけ心強かったか。
それは、彼が実際に試合に出る、出ないということとは関係ないんだ。
彼の存在は、チームの貴重な戦力なんだ」

僕は「オムツ」と呼ばれるのは泣くほど嫌なのですが、
もし精神的な面でチームに貢献できたのなら、
ちょっとだけオムツでもいいかな、
という気には・・・やはりなれませんが、納得はしたのでした。